※この話は続きものです
▶ 詐欺で一文無しになった最初の話はこちら
投資詐欺の被害に遭ってから、私はできる限りのことをしてきました。
弁護士に依頼した。
裁判もした。
それでも――
お金は戻りませんでした。
最終的に弁護士との契約を終了し、債権回収会社へ依頼。
K氏に対する動産執行。
自宅への強制執行。
そして店への強制執行。
何度も警察署へ足を運びましたが、告訴状は受理されませんでした。
しびれを切らした債権回収会社S社長は、県警へ直接電話。
正直、私は、
「県警に言っても、どうせ何も変わらない」
と思っていました。
ところが数日後。
警察署から一本の電話が入りました。
「一度、来ていただけますか」
今まで門前払いだった警察が、話を聞くと言ったのです。
H警察署では、詐欺そのものではなく、財産開示手続きでK氏が財産について虚偽の陳述をした可能性も含め、財産状況を調べてもらえることになりました。
ようやく、少しだけ前へ進んだ。
そんな気がしました。
ですが、その結果を待っている間に、
さらに予想もしなかった出来事が起きたのです。
※県警への相談で警察が動き始めた経緯はこちら
→【投資詐欺体験談㉑】警察はなぜ動かない?県警への訴えで始まった財産捜査
詐欺師が破産手続きへ|突然届いた弁護士からの受任通知
H警察署がK氏の財産状況を調べてくれていた頃のことです。
ある日、自宅に一通の封筒が届きました。
差出人は、K氏の代理人だという弁護士。
中に入っていたのは、
「破産手続き受任通知」
でした。

※弁護士から届いた破産手続き受任通知
一瞬、何を意味するのか理解できませんでした。
何度も読み返しました。
そして分かりました。
K氏は、私に返金するのではなく、破産することを選んだのです。
通知によると、K氏には複数の債権者がおり、私もその中の一人でした。
自宅への強制執行。
店への強制執行。
何度も続けた返済請求。
それらがK氏にとって何らかの負担になったのかどうか、私には分かりません。
ただ、私は別のことも考えました。
ほかの債権者とは、いったい誰なのだろう。
もしかすると私以外にも、同じような被害に遭った人がいるのではないか。
そんな疑問まで頭をよぎりました。
投資詐欺の相手が破産|「もう回収できないのでは」と絶望した
「破産する」
その事実を知った瞬間、目の前が暗くなるような感覚がありました。
裁判までした。
勝訴もした。
強制執行もした。
警察署にも何度も行った。
ようやく警察が財産状況を調べてくれるところまで来た。
それなのに――。
ここで破産されたら、もうお金を取り戻すことはできないのではないか。
今までやってきたことが、全部無駄になるのではないか。
そんな気持ちになりました。
すぐにS社長へ電話しました。
破産手続きの受任通知が届いたことを伝えると、S社長はかなり怒りました。
「その弁護士、詐欺のこと分かって破産させるんか?」
さらに、
「弁護士会に懲戒請求したほうがええんちゃうか」
とも言いました。
その頃の私は、
弁護士に対して懲戒請求?
そんなことまでできるの?
という気持ちでした。
正直、話があまりにも大きくなっていくように感じて、そのときは聞き流していました。
詐欺師の前妻や家族への請求はできるのか?財産の行方を追うことに
電話を切ったあと。
私は、強制執行のときにK氏が口にした、ある言葉を思い出しました。
「財産は全部、前嫁に渡した。」
その言葉は、S社長も覚えていました。
「前嫁に財産渡したって言うとったやろ。そこも調べる価値あるで。」
もちろん、この時点ではK氏の言葉だけです。
本当に前妻へ財産を渡したのか。
渡したとすれば、それはいつなのか。
どんな財産だったのか。
そして、その財産が今回の詐欺被害と関係しているのか。
何ひとつ確認できていませんでした。
そんな話をしていたときです。
S社長が、自分が過去に扱った債権回収の話を始めました。
「知ってますか?」
そう言ってから、S社長は続けました。
「前に、詐欺した人間が愛人に金を渡しとったケースがあったんですわ。」
私は黙って聞いていました。
「そのときは、その男が愛人の家に出入りしとる証拠なんかも集めて、金の流れを追ったんです。」
そして、
「詐欺で取った金が相手に渡っとることを裏付けられたら、そこから回収を検討できる場合もある。俺、それで依頼者の金を取り戻したことありますで。」
と言いました。
そんな方法があるのか。
私は驚きました。
それまでの私は、
「詐欺師本人に財産がなければ、そこで終わり」
だと思っていたからです。
でも、S社長の考え方は違いました。
本人名義の預金や不動産だけを見るのではない。
財産がどこかへ移されていないか。
お金はどこへ行ったのか。
周囲の人物へ渡っていないか。
その流れまで追っていく。
まるで、消えてしまったお金の足跡を一つずつ探していくようでした。
もちろん、前妻や家族だからという理由だけで請求できるわけではありません。
K氏の財産を前妻が実際に受け取っているのかどうかさえ、この時点では確認できていませんでした。
それでも――。
「全財産を前嫁に渡した」
強制執行の場でK氏自身が口にした、その言葉。
何も調べずに終わらせる気にはなれませんでした。
K氏は以前、自分には複数回の結婚歴があるとも話していました。
ならば、まず家族関係を確認できないだろうか。
以前取得していた「戸籍の附票」を手掛かりに、S社長は戸籍謄本の取得を試みることになりました。
ここから私は、K氏本人だけではなく、
「消えた財産は、いったいどこへ行ったのか」
という問題と向き合うことになったのです。
詐欺師の戸籍謄本は取得できる?市役所へ申請した結果
S社長は、戸籍の附票に記載された住所を手掛かりに、市役所へ戸籍謄本の取得を申請してくれました。
申請理由書も丁寧に作成してくれました。
S社長は、
「正当な理由があれば、取れる場合もあるんやけどな」
と話していました。
そして、こんなことも言いました。
「昔、戸籍謄本だけ取ってくれる弁護士の知り合いがおったんやけどな。もう昔の話や。年寄りやったしな。」
私は期待していました。
戸籍謄本が取れれば、何か新しい手掛かりが見つかるかもしれない。
家族関係が分かれば、K氏が言っていた「前嫁」という人物についても確認できるかもしれない。
財産の行方につながるものが、ほんの少しでも出てくるかもしれない。
もう何度目か分からない、小さな期待でした。
しかし――。
結果は、不許可。
戸籍謄本を取得することはできませんでした。
また、壁でした。
裁判・強制執行・警察・破産…そして戸籍謄本でも壁にぶつかった
裁判をしても回収できない。
強制執行をしても回収できない。
警察へ何度行っても、告訴状は受理されない。
ようやく財産状況を調べてもらえることになったと思ったら、K氏から破産手続きの通知。
そして今度は、
新しい手掛かりになるかもしれないと思った戸籍謄本まで取れない。
期待しては、潰される。
その繰り返しでした。
S社長は、
「取れることもあるんやけどな。ここは厳しかったな。」
と話しました。
私もかなり落ち込みました。
また振り出しに戻ったような気分でした。
しかし、S社長はまだ諦めていませんでした。
「戸籍謄本だけでも取ってくれる弁護士がおるか、知り合いに聞いてみるわ。」
さらに私にも、
「〇〇さんも、弁護士の知り合いがおる人おらんか探してみたらええよ。」
と言いました。
一つの道が塞がったら、別の道を探す。
その繰り返しでした。
投資詐欺の被害金を回収するため、次に狙ったのは「敷金」だった
そしてS社長は、さらに別の方法を口にしました。
「K氏の家の敷金、差し押さえてみますか?」
私は一瞬、意味が分かりませんでした。
敷金?
敷金まで差し押さえることができるの?
そんな方法があることすら知りませんでした。
裁判、
財産開示、
動産執行。
戸籍の附票、
戸籍謄本。
そして今度は、敷金差押え。
知らない言葉。
知らない制度。
初めて経験する手続き。
一つ終わったと思ったら、また次の手続きが出てくる。
また調べる。
また書類を書く。
また裁判所へ行く。
正直、もう疲れていました。
それでも私は答えました。
「やります。」
取れるかどうかなんて分からない。
わずかな金額かもしれない。
それでも、可能性が残っているならやる。
ここまで来た以上、できることは全部やろう。
そう思いました。
詐欺師は破産へ向かう。
戸籍謄本という新しい手掛かりも、いったん閉ざされた。
それでも、まだ終わりではありませんでした。
次に狙ったのは、K氏が住んでいる家の「敷金」でした。
しかし、この敷金差押えも、
私が想像していたほど、簡単なものではありませんでした。
――次回、敷金差押えへ続きます。
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詐欺から再起している看護師
投資詐欺で全て失いました。
勝訴しても、お金は戻りませんでした。
夜勤看護師|借金返済でトリプルワークの日々。
どん底から人生を立て直しています。
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