投資詐欺の被害に遭い、あらゆる手段を尽くしました。
それでも回収できない現実。
私は弁護士を切り、債権回収業者へ依頼し、強制執行の手続きを進めることになります。
■初めての裁判所と、不安だらけのスタート
債権回収業者のS社長から、裁判所での手続きについて電話で説明を受けていました。
しかし――正直、何が何だか分からない。
「あの書類をこうして、ああして…」
そう言われても、頭に入ってこないのです。
私は不安に耐えきれず、裁判所への同伴をお願いしました。
「少しだけならええですよ」
その言葉に救われ、夕方に一緒に裁判所へ行くことになりました。
■不動産執行ではなく、動産執行という選択
強制執行には、不動産執行と動産執行があります。
しかし、投資家Kの自宅は借地で他人名義。
不動産執行はできませんでした。
さらに、不動産執行には数十万円の予納金が必要です。
詐欺で一文無しになった私には、とても用意できる金額ではありませんでした。
「数万円でできるで。手続きも簡単や」
S社長が提案したのは、動産執行でした。
「執行官と家に入るやろ?その時に俺が本人と話すんや」
つまり、動産執行を利用して
詐欺師と直接対面する――
そんな方法でした。
■弁護士ではできない“回収の現場”
S社長はこう言いました。
「詐欺師はな、プライド高いし外面よくて、ええかっこしいやろ。自宅に来られたら近所に知られるやん。そしたら恥さらすやろ。それが一番応えるらしいからな。」
その言葉を聞いたとき、私ははっとしました。
これまで弁護士からは一度も聞いたことのない話でした。
「弁護士じゃ回収できませんで」
「詐欺師にはプレッシャーかけな返してきません」
その意味が、この瞬間に繋がった気がしました。
弁護士は法的手続きを進める人。
一方で、S社長は“現場で回収する人”。
少し強引で、説明も大雑把。
それでも、そのやり方には現実味がありました。
私は初めて、“お金を取り戻す側の世界”を見ているような気がしました。
■強制執行手続きの壁にぶつかる
裁判所での手続きは、想像以上に過酷でした。
申立書の記入、利息の計算、証拠書類の整理。
すべてが初めてで、頭は完全に混乱していました。
書き方も細かく、何度も職員やS社長に確認。
それでも――
不備だらけでした。
その日は申立ができず、後日やり直し。
さらに修正、再提出、郵送。
また不備。
またやり直し。
■何度も折れそうになった
申立が、まったく進まない。
夜勤の合間に書類を準備し、
寝不足のまま裁判所へ通う日々。
何度も通い、何度も訂正。
体力も気力も、限界でした。
さらに、裁判所での対応にも心が削られました。
職員の中には、優しく丁寧に対応してくれる人もいました。
しかしその一方で、冷たい対応の人もいました。
申立書は、提出部数ごとにコピーが必要だと知らず、
「もう1枚ほしい」とお願いしたときのことです。
聞こえるように小さく文句を言われているのが分かりました。
その瞬間、胸の奥がズキッとしました。
詐欺で一文無しになったこと。
投資家Kにだまされた悔しさ。
すでに心が弱っていた私は、
その一言で、さらに追い詰められたような気持ちになりました。
「もうやめたい」
正直、何度もそう思いました。
■それでも前に進む理由
それでも――
ここでやめるわけにはいかなかった。
ここで諦めたら、
投資家Kに負けたことになる。
そう思ったのです。
私はもう、戻れないところまで来ていました。
だからこそ、進むしかない。
どれだけ時間がかかっても、
どれだけしんどくても。
私は、前に進むことを選びました。
▶ 前の記事
再起記録12はこちら

コメント